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我が国は、世界4位の地震発生率を誇るトップレベルの地震大国です。住まう人の生命・財産を脅かす震災リスクから身を守るためには、耐震住宅への正しい知識と理解が必要不可欠。住宅の耐震性について詳しく見ていきましょう。
地震に対する住宅の強度は、建築基準法において「耐震基準」という耐震強度の目安が定められています。
そのため、一般住宅でも最低限の耐震性を備えていますが、耐震住宅は地震への抵抗力を上げる工法が用いられており、標準を大幅に上回る強度を持っています。
耐震住宅とは、文字通り「地震の衝撃を耐える」ことに特化している住宅です。耐震強度は3種の等級に分けられた「耐震等級」によって表され、等級1<等級2<等級3の順にランクが上がります。
耐震住宅は等級1の1.25倍の強度を持つ「等級2」、または最高の耐震性能を示す「等級3」であり、大規模な地震にも耐えうる耐震強度を誇ります。
耐震住宅の大きなメリットは、建物の倒壊による人命・財産の喪失リスクを回避できる点です。地震だけでなく、強風・台風などの気象災害による影響も防ぐことができます。
さらに、耐震住宅は免震・制震住宅よりもリーズナブルで工期も短く、大掛かりな地下構造による設定制限もないので、比較的自由なプランニングが可能です。
耐震住宅は地震による“倒壊”には強いものの、揺れが建物に直接伝わる設計のためダメージが蓄積しやすく、ひび・劣化などの損傷に弱いという欠点があります。
また、免震住宅に比べると住宅内が揺れやすいため、地震発生時は揺れによる転倒・落下への注意が必要です。
耐震住宅には、住宅の耐震強度を高める「耐震補強工法」が使われています。基本的には複数の工法を用いることが多く、耐震性に優れた建材や補強材を組み合わせ、地震の揺れによる影響を和らげる設計を行います。
耐震補強工法は建物の壁面や構造体に加工を施し、住宅そのものの強度を高める工法です。耐震性に優れたコンクリート壁を増設したり、鉄骨や壁をカーボンファイバーで補強することで、建物の強度を引き上げます。
また、柱と壁の間にスリット(隙間)を設けて揺れを緩和するなど、特殊な設計を行う工法もあります。
代表的な耐震補強工法として、以下のような方法が挙げられます。
鉄筋コンクリート造住宅の場合は、ブレースの設置や耐震壁の新設・増設による強度向上のほか、柱にモルタル充填して靭性を向上する工法が用いられます。
耐震補強工法を選ぶ際のポイントは、住んでいる地域の環境や住む人のニーズです。地震や台風などの気象災害が多い地域環境であれば、補強材による強度向上が適しています。
逆に、「なるべく費用を抑えたい」「自由に設計したい」という場合は、コストが安い壁面補強が向いています。
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